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仕事上の意思決定の速度・行動力を成長させるためにできること

知識

日々さまざまなことが起こる現場で意思決定・行動の早さは必要

児童・生徒に関わることは、忙しい日々の中でも後回しにはできません。

放置することで、さらなる問題に発展(他の児童生徒間、学級、保護者などに波及)する可能性があます。

個人でもそうですし、学年主任や管理職に報告して、すぐに対応できることが問題を解決したり、その糸口を見つけることにつながります。

そこで、企業でもよく言われますが、OJT(On Job Training)をしつつ個人として組織として成長し考え行動するための考え方として、

PDCAサイクルが有名です。これについては以前に私の勤務時代の仕事術のひとつとして記事にしました。

しかし、今回はまた別の考え方『OODA(ウーダ)ループ』について記述していきます。

この考えとPDCAサイクルを組み合わせて、適切な選択をして、より一層成長を目指してはいかがでしょうか。

PDCAサイクルとOODA(ウーダ)ループとは

まずは、それぞれがどのようなものかを引用元から紹介したいと思います。

PDCAサイクルとは:

PDCAサイクルはもともと、工場の生産性を高めるために作られたフレームワークです。つまり、工場での生産速度や生産効率といった「決められた工程をいかに低いコストで進め、高い生産性を発揮するか」という課題に対する改善を図るのに最適だとされています。ですから、PDCAサイクルは業務改善に最適なフレームワークですが、そもそも工程が明確になっていないものに対しては、あまり効果的ではないと言われています。

引用元:アチーブメントHRソリューションズ:https://achievement-hrs.co.jp/ritori/?p=2213

OODAループとは:

アメリカ合衆国の戦闘機操縦士であり、航空戦術家でもあるジョン・ボイド氏が発明した意思決定方法です。ジョン・ボイド氏は、どんなに不利な状況からであっても、40秒あれば形勢を逆転できたということから「40秒ボイド」の異名を持っていました。そんな彼の強さの秘訣を一言でいうと、「行動に移す速さ」です。どんなに先の見えない状況の中でも迅速に意思決定を下し、迅速に行動に移す。これこそが、ジョン・ボイド氏が40秒ボイドたる所以でした。ジョン・ボイド氏は、軍を引退した後に人間の意思決定に関する研究に没頭し、その研究の末に作り上げたのがOODAループです。OODAループは、PDCAサイクルと同じように4つのステップに分かれています。そのステップとは、「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」の4つです。「OODA」は、この4つのステップのイニシャルを取って名付けられています。「OODA」の読み方は、ジョン・ボイド氏自らが「ウーダ」に決めました。

また、この考え方は「孫子」と「五輪書」に影響を受けています。

戦闘を行う最前線で、不明確で常に状況が変化する状況において、現状から最善策を導いて行動することを目的においています。

引用元:アチーブメントHRソリューションズ:https://achievement-hrs.co.jp/ritori/?p=2213

この2つの考え方は優劣で考えずに使い分け

さて、このように2つの考え方を引き合いに出すと、必ず

『どちらの方が優れているのか』

という考えに至ってしまいます。しかし、紹介した内容を比べてもらうとわかるのですが(青色で強調してあります)、この2つの考え方は同じ土俵には乗っていません。

簡単に言うと

PDCAサイクルは『業務改善』〔工程があるものを対象〕Howを考える

OODAループは『起業や事業開発』〔工程が明確にないものが対象〕Whatを考える

ものです。

こうしてみると、比べるものではなく。どこで使うのが適切かを考えることが重要であるかがわかっていただけると思います。

 

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OODAループの内容と具体例

学校現場における具体例を挙げながら、如何にOODAループではどのようなことを行うのかを記述していきます。

具体例:児童・生徒間で言い争いなどケンカが起きた場合(主任などには報告はするものとします)

目的:児童・生徒を仲直りさせ、今後ケンカが起こらないようにする

O「Observe」:観察する

観察するとは、見ることだけを指すのではなく、情報収集・自分や相手の置かれている状況の把握を行うことを指します。

具体例における「Observe]は何でしょうか。

情報収集・状況把握ですから、ケンカが起きた状況を知ることがまず前提となるでしょう。そこでは、当事者から話を聞くことをまず行うと思います。このとき、児童・生徒同士の関係も指導する側として見取ることができることが望ましいです。

以前から仲が悪い、普段は仲が良いはず、家が近所であるか否かなど多数あります。

O「Orient」:方向付けをする

OODAループの中で最も重要視する項目です。考案したジョン・ボイド氏もBigOと呼んでいたそうです。

観察によって得た情報と自身の持っている知識や経験を動員し、情報を整理して仮説を構築します。この仮説が、行動の方向性となります。

PDCAサイクルと異なる点は、Planではないので、その後に続くDecide・Actとした後に何度もループ(繰り返し)して目的達成へと導いていきます。

具体例における「Orient]は何でしょうか。

仮説構築ですから、仲直りさせるための方法と今後ケンカが起こらないための方法について、どう指導するかの内容を構築することになります。複数の案が浮かぶかと思いますが、以下に一例を挙げます。

・当事者に何に腹が立ったのかを先生立ち合いの元で言わせてみよう

・今度怒りがこみ上げてきたときは、相手から顔を背けて怒りが収まるのを待つことを提案しよう

・これらを組み合わせて指導すれば、お互いに気持ちを知れるし、次に起きたときの行動も制限できるだろう

D「Decide」:決定する

最終段階である「Act」に向けて、どの仮説を採用するかなど具体的にどうするかを決定します。

効果的な意思決定には、

1.どうなりたいのか➡仲直りをし、ケンカをもうしないでほしい

2.考え得る選択肢は何か(なるべく多く出す)➡謝らせるのか、お互いの意見を言い合って謝りたい状況をつくるのか、ケンカがまた起こることを前提にして次はどうすべきかを話し合わせるべきか

3.仮説から一番効果的となるのを選択➡お互いに言われたくない、触れられたくないことを確認させて、再度ケンカをしそうになったらどういった行動をとるかを私が立ち会って話し合わせよう

の3ステップで考えるのがよいと思います。

A「Act」:実行する

意思決定のステップで決めた行動を実践します。

L「Loop」:繰り返す➡さらにOODAへ

実行のステップが終わると、その後に2回転目のOODAループが始まります。

2回転目の観察のステップでは、実行したことによって現状が変わっているかもしれませんし、変わっていないかもしれません。変わっていても変わっていなくても、その情報は新たな仮説を構築する材料になります。

ここで2回転目以降ののOODAループを始めるにあたって大切なことは、

結果に一喜一憂しないこと

です。

うまくいったとしてもうまくいかなかったとしても、それは次のOODAループを回すための有用な情報だと捉えて、気持ちを切り替えて2回転目以降を回すことが大切なポイントです。

注意点

さて、ここまで書くと勘の鋭い方は、「なんだこれって結局経験を積むことと一緒だ」とお気付きになると思います。誰しも経験を積んでいけば、一つの事柄に対して、過去にこういうことがあって、こう指導した。こう解決した。こうしたけどうまくいかなかった。ということはわかってくるものです。そして、積めば積むほど経験からの判断は早く的確になっていきます。

ですが、このループを意識しているかどうかが大事で、今後に備えて記憶・記録して活用することに意味があります。さらにこれを組織に適応して組織が経験を積むことに応用させていけるかどうかが成長の鍵になります。

または、個人でOODAループを行い、それを持ち寄ってシステムをつくり、それをPDCAサイクルで回していく。個人は、システムも含めてOODAループを行うことが重要となります。

 

ではどうするのか?

一重に、Vision(夢・目的)を同じにすることです。

学校においては、明確になっています(教育基本法、学習指導要領、各学校の教育目標など)。

組織のなかで統一された『Vision=夢のビジョン』を持ち、この『夢のビジョン』にすべてヒモ付けられた行動を行うことで、改革の実現を目指します。

学年や学級などの小さな組織では、スローガンなどで決める場合が多いかと思います。

 

まとめ:PDCAサイクル・OODAループどちらにも共通して言えること

結論から言ってしまえば、どちらでも好きな方を選択していけばよいのです。

というのも、結局どちらの考え方を採用するにしても、

 個人・組織がVision(夢や目的)をもち、それに向って一斉に行動すること

が必要なわけです。行動なくして達成などありえません。意思決定に関しては、個人と組織でどうしても時間的な差ができてしまうかもしれませんが、個々人が早くなれば組織としても早まります。なぜなら、同じVisionがあるからです。

各学校で言えば、〔児童・生徒の成長や目標達成や学力の向上〕がそれに当たります。

 

結局どっちでもいいでは乱暴ですので、現場にあった考えでは、

学校においては、個々の先生方はOODAループで動き、それに基づいて決定された学年や学級を回すしくみをPDCAサイクルで行う

というしくみです。

これまた聞くと、「普通にやってますけどこれ」という意見がありそうです。

行えているならば、その学年は安定していると思います。

問題が多い、問題が出てきてもなかなか解決に至らない、組織立って動けていないなど何か不具合が組織に存在しているときは、この考えを思い出してみてはいかがでしょう。

あなたにOODAループの考えが組み込まれれば、最初の「Observe」が動き出します。

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